蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「完成?」

「はい」

「可愛らしいな」


 でもそれは気のせいだったようで、蓮司さんはアレンジメントを眺め、少し目を細めて微笑んだ。
 彼の前でお花を生けるのはまだ二回目だけど、その時間だけは私をからかうことなく真面目に接してくれる気がする。相手が大切にしているものに敬意を払ってくれているのを感じる。


「花材が可愛いからです」


 私も頬を緩めて花を眺め、片づけを始めた。今日は花材が少なかったのですべて使い切り、余った花はない。
 あとは手を洗うだけという段階になって、横でワインを飲んでいた蓮司さんが不意にグラスを置き、私を呼び止めた。


「ちょっと待て」

「はっ、はいっ」


 自然に背筋が伸びる。なぜかそのひと言で、私の悪事について今からお仕置きされることを察知したからだ。
 花を生ける時間は終わってしまった。彼はそれを待っていたのだ。
 彼をいたずらに刺激するとろくな目に遭わないということは元々わかっていたはずなのに、後悔してももう遅い。


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