MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
佐々原家の夕食メニューは,基本的に一番年少の春奈の好物を基準にして決定されるのだ。そして,家族の誰もがそれに異議(いぎ)(とな)えたりしないのだ。
「春奈っ。今日の晩ゴハン,チーズ入りのハンバーグだって!やったね!」
「うん,やったあ!」
三歳になった春奈も,満面の笑みで大はしゃぎ。娘の背丈(せたけ)に合わせてしゃがんだ美優ママと,ハイタッチを()わした。
「お母さん,春奈も喜んでるよ」
美優がスマホを再び耳に当て,母にそう報告すると,電話の向こうから「聞こえてたわよ」と呆れたような声が返ってくる。
そりゃそうだろう。電話が繋がったままの状態にしておいて,春奈と二人ではしゃいでいたのだから。
『じゃ,帰ってきたら,あんたも作るの手伝ってね。食材はもう,私が買ってきてあるから』
「はーい。お父さんもいつも通りに帰ってくるんだよね?」
『でしょうね。「遅くなる」って連絡は,今のところ来てないし』
父はそういう点,マメなのだ。帰りが遅くなりそうな時には必ず,母のケータイ(ちなみにガラケー)に電話かメールが入る。
「うん,分かった。じゃ,お父さんが帰るまでにハンバーグ作っちゃわないとね。あたしも急いで帰るから」
電話を切ると,美優は「ばあばが待ってるから,早く帰ろ」と春奈を促す.。
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