MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
母が目を丸くした。確かに,美優が活字の本を読むこと自体,珍しいのだけれど。
(っていうか,「先生」⁉……あ,そっか。お母さん,裕一さんのファンだったっけ)
自分の恋人(!)を「先生」と呼ばれたことは,何だかむず痒い。
そういえば,と美優は思い出した。母にはまだ,彼との関係を話していなかったということを。
てっきり,父から聞かされているものだと思っていたのだが……。
「あれ?お父さんから聞いてない?あたし,昨日から浜田裕一さんとお付き合いしてるんだよ」
「ウソっっ⁉ホントなの,それ?お父さんったら,私には何にも話してくれないんだものっ!」
四十六歳の母が,子供のようにむくれているのが何だかおかしくて,美優は吹き出す。
「お母さん。よかったら今度,恋人特権で彼にサインもらってきてあげよっか?」
彼なら,「母があなたのファンなんです」と美優が言えば,サインくらい快く書いてくれるだろう。
「別にいいわよ,そこまでしてくれなくて」
「そう?」
まだ拗ねているのか,あっさり断った母に美優は肩をすくめ,本のページをめくり始める。
読み始めたら,作品の世界観に引き込まれて止まらなくなった。優しい彼の人柄が文章にも滲み出ている,切ない純愛小説だ。
そして時間が経つのも忘れ,三分の一くらい一気に読んでしまっただろうか。
気がついてふと顔を上げた美優は,寝室で春奈と遊んでくれていた父が,いつの間にかリビングに戻ってきているのに驚いた。
(っていうか,「先生」⁉……あ,そっか。お母さん,裕一さんのファンだったっけ)
自分の恋人(!)を「先生」と呼ばれたことは,何だかむず痒い。
そういえば,と美優は思い出した。母にはまだ,彼との関係を話していなかったということを。
てっきり,父から聞かされているものだと思っていたのだが……。
「あれ?お父さんから聞いてない?あたし,昨日から浜田裕一さんとお付き合いしてるんだよ」
「ウソっっ⁉ホントなの,それ?お父さんったら,私には何にも話してくれないんだものっ!」
四十六歳の母が,子供のようにむくれているのが何だかおかしくて,美優は吹き出す。
「お母さん。よかったら今度,恋人特権で彼にサインもらってきてあげよっか?」
彼なら,「母があなたのファンなんです」と美優が言えば,サインくらい快く書いてくれるだろう。
「別にいいわよ,そこまでしてくれなくて」
「そう?」
まだ拗ねているのか,あっさり断った母に美優は肩をすくめ,本のページをめくり始める。
読み始めたら,作品の世界観に引き込まれて止まらなくなった。優しい彼の人柄が文章にも滲み出ている,切ない純愛小説だ。
そして時間が経つのも忘れ,三分の一くらい一気に読んでしまっただろうか。
気がついてふと顔を上げた美優は,寝室で春奈と遊んでくれていた父が,いつの間にかリビングに戻ってきているのに驚いた。