過ぎた時間は違っても
やっぱり女の子だから色々と準備に時間が掛かるのだろう。遅れても良いなら行くという条件を出してきた。まぁ、俺も彼女のために待つのならと了承し、家も少し遅めに出ようと心掛けた。

「羽季お兄ちゃん、楽しそう。何かあったの?」

「とっても良い事があるのさ」

まだ小学生の再従兄弟が俺の気分が良い事について訊いてきていた。でも、答えた所で分かってもらえるかどうか。会いたい人に会えるなんて二人は当たり前だと思っている。祖母も同じ家に住んでいるし、俺ほど喜ぶ事でも無いのだろう。
俺だってどうして唯織に会うというだけで心が踊っているのか分からない。また明日になれば高校で会えるのに。昨日だって個人練習に付き合ってもらったのにどうして。
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