優しい彼と愛なき結婚
結局、胃の中のものは外に出せず、大悟さんに支えられてベッドに横たわった。
「汗、拭いてやるから待ってな」
「行かないで」
ベッドから離れようとする彼の手を掴む。
「行かないよ。タオルとってくるだけ」
「私、大悟さんと話したい」
「少し休んだら、話そう」
「今、話したい」
大悟さんは困ったように頷いてから、無理矢理に私の手を剥がした。
「俺は水無瀬から連絡もらって看病しに来たの。話は後にして…そういやレオにハンカチ持たされたな」
そうぶつぶつ言いながら取り出したハンカチを私の額に当てて、汗を拭いてくれた。
「大人しくして。俺はどこにも行かないよ」
「水無瀬さんの頼みだから戻ってきたの?」
「違うよ。アンタが心配だから、様子見にきたんだ。吐き気は止まったか?」
水無瀬さん。
名刺はしまってあるけれど、連絡はできなかったな。