優しい彼と愛なき結婚

「俺はここにいるから、少し休め。疲れたろ?」


「…祖母に話を聞きました。おかしいと思っていたのです。会って間もない私に結婚しようだなんて」


深い溜息をついて大悟さんは笑った。


「墓場まで持ってくって言ってたのにな、話したのかよ」


「…身勝手なお願いをすみません。私も祖母も」


「そうか?俺は新婚生活、楽しかったぞ」


楽しかった?
聞き返そうとすると、視界が暗くなった。
大悟さんの掌で私の目は覆われたようだ。


「寝ろ。休め。話しは後」

「眠れませんよ、こんな時に」


そう言ってみたものの視界が暗くなり、久しぶりに聞く声に肩の力が抜けて眠気が襲ってきた。この1週間、まともに眠れなかった。


「俺は眠いんだよ。隣りで寝ていい?」

「それはいいですけど…」

「じゃ、失礼」


布団が沈む。


「寝ないなら、病院に連れてくからな」

「寝ます」

「よしよし。おやすみ」

「…おやすみなさい」


少し休もう。
起きたらきちんと謝って、これからのことを大悟さんと一緒に考えるんだ。


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