優しい彼と愛なき結婚
しかし目が覚めたら、隣りには大悟さんがいなかった。
帰った?
飛び起きれば、リビングから話し声がした。
「ばあちゃん、すっごい!水くれ!」
「梅干しなんだから、酸っぱくて当たり前だよ」
「いいから、水!…お、起きたか」
眉を潜めながら大悟さんは水を煽った。
「大悟さん…」
「優里、梅粥だよ。食べなさい」
「でも…」
「だよな、こんな酸っぱいもの食い物じゃないよ」
テーブルの置時計が午前9時を指していた。
「え?アラーム鳴らなかった?仕事!」
しまった、寝坊だ。
アラームは繰り返しの設定をしているのだが、聞こえなかったのだろうか。
「ん。俺が、消しておいた。会社にも連絡しておいたから心配するな」
「はい?」
「いいから食べなさい、優里」
仕方なく席に着く。
10時間以上眠っていたようでおかげで頭はすっきりとして、ここ最近ずっと不快に感じていた胸のつっかえもとれた気がする。
食欲も湧き、おばあちゃんが作ってくれたお粥を食べる。
我ながら単純だ。
大悟さんがそこにいるだけで、今までの不調が嘘だったかのように心落ち着いた。