優しい彼と愛なき結婚

軽く咳払いをした後、

「綾人にアンタとの結婚を止めるべきだと助言しに言った。いくらばあちゃんに言われたからって俺が結婚する必要はないと思った。綾人を止めればそれでいいって」


そうだよね。綾人さんに説得して受け入れられれば、全てがなかったことになる。


「なのにどうしてだろうな。喫茶店で優里を前にして、自分と結婚しろだなんて。なに言っちゃってるんだろうな」


「はい…」


「はっきりした答えはないけど、やっぱ俺は最初からアンタを守りたかったんだと思うよ。優里を守ってやりたかった」


「大悟さん…」


そんなこと言われたら、告げたくなってしまう。

1週間、あなたと離れることで自覚したこの想いを。


偽りの結婚生活ではなく、ホンモノの夫婦になりたいと口走りそうになる。

私の大悟さんに対する気持ちは、彼の負担になるのだろうか。


「だからもう二度と、他の男に抱かれようとするなよ。次は許さない」


少し強めの口調。


「はい、もう二度と馬鹿なことはしません」


「よし。俺からは以上」


満足気に笑った大悟さんは私の分のお茶も注ぎ足してくれた。


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