優しい彼と愛なき結婚
野菜たっぷりのカレースープと、春雨サラダ、明太子を乗せた卵焼き、そしてハンバーグが食卓に並んだ。
「母が作ったものなのですが、召し上がってください」
「いただきます」
胸は大きいのに腰回りは引き締まっていて、きっと食事に気を遣っているだろうと思い、母にリクエストした。そのためいつもより野菜が多く使われていた。
「ん、美味しい」
カレースープを飲んだ水無瀬さんが微笑む。
ああ、笑うと高校時代に見た無邪気に笑顔が浮かぶんだ。
「おかわりもありますからね」
「後でいただくわ。私も綾人の胃袋を掴むために沢山、料理の勉強をしたけど、こんな美味しいカレーは作れないわ」
「そう言ってもらえると母も喜びます」
迷ったけれど水無瀬さんに連絡をして良かった。
切れ長の瞳、焦げ茶色の瞳は父親似だろうか。2人の兄にそっくりだった。水無瀬さんも長い間、苦しんできたのだろう。それは私が簡単には触れられない程に辛いものだったと思う。
「大悟のことを好きだと言ったけれど。気にしないで。だって私、大悟の妹だもの」
「はい……」
「まぁ綾人と大悟と血の繋がりがあると知った時は驚いたけれど、今はもう吹っ切れてるわ」