優しい彼と愛なき結婚
月島 綾人。
彼はどれだけの人を苦しめれば気が済むのだろう。そんな人の弟である大悟さんもたくさんの苦労をしてきたはずだ。
「ねぇ、今夜泊まって行っていい?大悟、帰って来ないんでしょう」
「どうぞ。ベッド、私の隣りなら空いてます」
良かった、この空間は水無瀬さんにとって居心地の悪いものではないんだ。
「私の話ばっかしちゃったけど、あなたはどうなの?月島家に借金があることは綾人から聞いてる」
「地道に働いて返すしかないと今は思ってます」
「そうね。大変だと思うけど…、大悟もいるし大丈夫よ」
「はい」
水無瀬さんは私の知らない大悟さんをたくさん知っているだろう。
羨ましいと、ただそう思った。