優しい彼と愛なき結婚

彼の後に続いて喫茶店に入る。

借りた傘を傘立てに入れている間に、彼は4人掛けのテーブル席に座った。

さすがに4人掛けに1人で座ることはないよね?隣り座って良いよね…

恐る恐る近付いて彼の反応を伺う。


「俺、バニラシェイク」


見ていたメニューの向きを変えて、私の見やすいようにしてくれた。


赤い短髪、細い眉、ドクロのTシャツ。
それだけで彼を"悪い人"と色眼鏡で見てしまった自分が恥ずかしくなった。

思えば先日、ピンチを救ってもらったのだ。


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