優しい彼と愛なき結婚
「裏通りはホテル街なんだけど、寄って行く?」
「……」
恥ずかしいけれど、誘ってくれたことは嬉しい。いっそ流れに身を任せてしまった方が幸せなのかな。
「冗談だよ、本気にするな。ほら、スケジュール通りに行くぞ」
「…からかわないでください」
顔を上げると、私を見る大悟さんの表情が今までよりもずっと甘いものに映る。
柔らかな笑みを浮かべ、「行くぞ」と歩き出した大悟さんは私の手を自身の腕に誘導した。
大悟さんの腕に手を絡めると、手を繋いでいた時よりも距離が縮まる。
「俺はアンタだけだ。余計なこと考えるな。言っとくが、不倫できるほど器用じゃねぇ」
「すみません… 羽奈ちゃんに嫉妬していたみたいです」
「妬かれて悪い気はしないが、それでアンタが傷つくことは不本意だからな」
これからも嫉妬はしてしまうだろう。その度に大悟さんを大好きだと自覚するのだ。