優しい彼と愛なき結婚
1時間程、電車に揺られる。先程と違い閑散とした車内で、大悟さんは私に寄りかかって目を閉じていた。
夜勤が続いて昼夜逆転しているだろうし、なにより疲れているはずだ。それなのに出掛けようと誘ってくれた。
アルバイトを掛け持ちして、フリースクールで勉強を教えて。大悟さんの生き方は他の人には真似できないものだ。私は私の人生を全うすることに精一杯なのに、大悟さんは生徒たちの人生をサポートしている。
その上、私の面倒までーー
シャンパンレッドの髪が私の頬に触れる。目にかかる前髪をはらってあげる。少しも傷んでおらず、大悟さんのトレードマークだ。
彼が忙しい日々を送っているのなら、私は彼にとって安らげる存在になりたい。彼の力になりたいと強く思う。