優しい彼と愛なき結婚

電車を降りてからバスで目的に向かった。


「ここは…」


大悟さんが立ち止まった場所は墓地だった。


「うちのばあちゃんの墓」


「大悟さんのお祖母様…」


「俺は月島家が大嫌いだ。今も昔も。けれどまぁそれなりに真っ当に生きてこれたのは、ばあちゃんが居たから。うちは家政婦が全ての家事を担っていたけど、必ずばあちゃんは俺に飯を作ってくれた。俺の誕生日には一緒に居てくれたし、いけないことをしたら叱ってくれた。ばあちゃんは俺の唯一の家族で居てくれたんだ」


"月島家ノ墓"と書かれたお墓の前で、大悟さんは寂しそうに笑った。



「そんなばあちゃんも重い病を患い、入院した。そのまま還らぬ人になり、看取ったのは俺だけだった。早くに旦那を亡くしたばあちゃんにとっても俺だけが家族だったんだ」



そうか。
大悟さんはお祖母様の愛情を受けて育ったんだ。


「良かった…月島家で、大悟さんがひとりぼっちでなくて」


「ああ…ばあちゃんが死んでからは荒れたけど、レイに出逢って俺の人生は変わったよ。そして今はアンタがいる。俺は人に恵まれているよな」


「それは大悟さんが優しくて、温かくて、人を惹きつける魅力のある方だからです」


あなたの人柄が私たちを魅了する。


「アンタ…」


目を閉じて、手を合わせる。

おばあちゃん、大悟さんを愛してくれてありがとうございます。これからは私が大悟さんのパートナーになれるように、精一杯頑張ります。


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