優しい彼と愛なき結婚

お墓にお花を供える。
綺麗に手入れがされていて、頻繁に大悟さんが訪れていることが伺えた。


「ばあちゃん、俺は可愛いお嫁さん見つけたから安心してな」


「大悟さん…」


「月島家の花壇には、ばあちゃんが大切に育てた花がたくさん咲いてるんだ。あの日も水やりに行って、綾人の部屋でアンタを見た」


あの日。
突然、両親に結婚の話をされて綾人さんの部屋で襲われそうになった。

たまたま通りかかった大悟さんに助けられなければあのまま流されていただろう。


「あの時の優里は怯えた目をして俺に"助けて"って言ってるように見えた」


「…心の中では助けてと叫んでいたと思います。でも月島家を裏切れなくて、口には出せなかった」


幼い頃から綾人さんに従い、彼に嫌われないように生きてきた。そう簡単に逆らうことはできない。


「でもあの日がなかったら、大悟さんと顔を合わせることもなかったです。だから今は皮肉にも綾人さんに感謝したいくらいです」


最低な日だったけれど、私の人生を大きく変えた日でもあった。


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