優しい彼と愛なき結婚
ハンカチは持ってないぞ、と袖で私の涙を拭ってくれる。
「私は借金のために…大悟さんを利用したのに」
「いいんじゃないの。俺が承知の上なんだから」
「こんな私と結婚しても、大悟さんは幸せになれはしないのに…」
「いや?幸せだけど?優里が傍にいるだけで、幸せだよ。…早く泣き止んでよ。俺、腹減った」
腹減ったって…こんな時に…
ワンテンポ遅れて本当に大悟さんのお腹が鳴ったものだから、思わず吹き出してしまった。
「早く優里のお弁当が食べたい」
「…はい」
「ほら行くよ」
歩き出した大悟さんを追い掛ける。
横に並び手を繋ぐと大悟さんはお墓を振り返り、白い歯を見せて笑った。