優しい彼と愛なき結婚

バスをもう一駅乗り、大きな公園に案内された。


そこはブランコや大きな滑り台などの遊具と、丘の上には芝生が広がっていて開放的な空間だ。

子供達が遊具で遊ぶ姿を微笑ましく思いながら、芝生に座ってお弁当箱を広げる。


「いつもと代わり映えないのですが…」


期待していたらどうしようかと、遠慮がちに蓋を開ける。おにぎりの具材は3種類、玉子サンドイッチも用意した。


「すっげぇ美味そう。食っていい?」

「どうぞどうぞ」


水筒からお茶を注いでいる間に、大悟さんはおにぎり片手におかずを頬張っている。


「からあげにカツにハンバーグって。手のかかるものばっかじゃん」


「会社があるとどうしても全部作るのは難しいので、今日は特別です」


「ありがとな。あ、ポテトも食いたい」


そう言って口を開けて私を見た。

恥ずかしい…。

フライドポテトを大悟さんの口元に持っていくと、指先をぺろりと舐められた。


「なっ…」

「ん、ポテトも美味い」


平然とした大悟さんの腕を軽く叩く。


「大悟さんは恥ずかしいと思わないのですか」


抗議すると、彼はすぐに頷いた。

そうですか…。


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