優しい彼と愛なき結婚

刻まれた"D to Y "の文字に震える。

「俺にもつけて?」

「大悟さん…」


震えながら彼の手に指輪を通した。


「ありがとうございます。一生、大切にします」

「おう」


こんな素敵なサプライズを用意してくれていたなんて。まるで私の気持ちを読んだかのような贈り物に、胸が熱くなる。


どうしようもなく大悟さんのことが好きになる。


「愛してるよ、優里」


「私も愛してます」


額と額をつけて互いの熱を感じる。

太陽の下で交わされた口づけは優しくて、労わるようなものだった。


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