優しい彼と愛なき結婚

夕飯は大悟さんが作ってくれるといい、4人分の食材を駅前のスーパーで購入した。

休日のためいつも以上に混んでいたレジに並ぶ私に大悟さんはお財布を預けて、外に行ってしまった。

大悟さんのお財布の中身はシンプルでクレジットカード、キャッシュカードがそれぞれ1枚ずつしか入っていない。男の人はこんなものなのかな。



レジ袋に食材を詰めていると背後に大悟さんが立った。


「貸して」


「あ、こっちは私が…」


「いいよ。両方、俺が持つから」


重たいレジ袋を2つ軽々と持ち上げた大悟さんは颯爽と店を出ていく。

その見掛け通り男らしくて、力持ちだ。


「よし、気合を入れてお好み焼き作るから」


「私も手伝いますね」


「ああ。一緒に買い物をして食卓を囲んで、こうして少しずつ家族になって行けばいいんじゃない」


「大悟さん…」


「ほら早く行くぞ」


焦らなくていい、大悟さんはそう言ってくれたんだね。


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