優しい彼と愛なき結婚

お母様は大悟さんへのお土産にケーキを持たせてくれたが、大悟さんは口にしなかった。
借金の返済を断られたことも報告した。


「モンブラン嫌いなの?」

「いや、別に」

「お母様はそう言ってくれたけど、借金は少しずつ返していくつもり 」

「優里がそう決めたのなら」


月島家の話だからだろうか。大悟さんは淡々としていた。


溝は深いよね…。


「あ、お母様の許可をもらってお花にお水あげてきました」


「ありがと。お手伝いさんに頼んでるんだけど、心配でよく見に行くんだ」


「綺麗に咲いてましたよ」


「次の土曜、様子を見に行くか。アンタも嫌でなかったら一緒にどうだ」


「もちろん行きます」


お母様と大悟さんの仲が大きく回復することはないかもしれないけれど、今よりもう少しだけ距離が近くなるといいな。


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