優しい彼と愛なき結婚
翻して私に見せてくれた。
「これはなに?」
「君はあのフリースクールに行ったことがある?」
「大悟さんが通うフリースクールのこと?」
「そうだよ。これは土地の売買契約書さ。あの土地は僕が買う。どうしようかな。マンションでも建てようかな」
「どういうこと?」
「だからフリースクールを潰そうと思って。土地の所有者がただ同然であのスペースを貸していたからこそ、フリースクールは成立していたんだ。この土地を奪ってしまえば、フリースクールは再起不可能だろうね。あの園長にはそんな金も頼れる知人もいない」
「調べたのね」
「ああ、調べたさ。あんな場所に逃げ込んだ子供は価値のない大人になるよ?いっそ無くなった方がみんなのためだと思わない」
ああ、やっぱり。
私は綾人さんが大嫌いだ。