優しい彼と愛なき結婚

翻して私に見せてくれた。


「これはなに?」


「君はあのフリースクールに行ったことがある?」


「大悟さんが通うフリースクールのこと?」


「そうだよ。これは土地の売買契約書さ。あの土地は僕が買う。どうしようかな。マンションでも建てようかな」


「どういうこと?」


「だからフリースクールを潰そうと思って。土地の所有者がただ同然であのスペースを貸していたからこそ、フリースクールは成立していたんだ。この土地を奪ってしまえば、フリースクールは再起不可能だろうね。あの園長にはそんな金も頼れる知人もいない」


「調べたのね」


「ああ、調べたさ。あんな場所に逃げ込んだ子供は価値のない大人になるよ?いっそ無くなった方がみんなのためだと思わない」


ああ、やっぱり。
私は綾人さんが大嫌いだ。


< 215 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop