優しい彼と愛なき結婚
それの姿は見間違えるはずなく、
「大悟さん!?」
思わず口に出して呼んでいた。
大悟さんもまさか私が居るとは思わず、驚いた顔になる。彼の視線が副社長に移った。
「あの、副社長。私の夫です」
大股で近付いてくる大悟さんを紹介すると、副社長は口元に手を当てた。
「知ってるよ」
ん?知ってる?
言葉の意味を聞き返す前に私たちのテーブルに大悟さんが到着して、
「は?」
あろうことか彼は副社長の頭を叩いた。
相手は副社長。
背筋が凍る。
もしかして何か勘違いしている?
会社の人と飲みに行くと伝えたけれど、不倫だと思ってる?
慌てて大悟さんの腕を掴むと、彼は私の隣りに座った。