優しい彼と愛なき結婚
「副社長、申し訳ありません。彼、なにか勘違いをしているようでして。誠に申し訳ございません」
口元に手を当て、もう一方の手で頭をさする副社長にとりあえず謝りを入れる。
「大悟さんも謝って!」
「……はぁ、」
大悟さんは溜息をついて、ビールに手を伸ばした。副社長のビールに!
止める間も無く、一気に煽る。
「大悟さん!なにしてるんですか?」
「あはははははっ、」
あれ?
突然、副社長は吹き出した。
目を細めて、白い歯を見せて、豪快に笑い出しのだ。
いつも難しい顔をして働く彼ではなく、子供のような無邪気な笑顔だった。
「ビール2つ!」
彼に構わず大悟さんは追加でお酒を注文し、呑気にお刺身を食べ出す。
待って?
状況についていけないのですが?
しかめ面の大悟さんと、笑いが止まらない様子の副社長に挟まれて困惑していた。