優しい彼と愛なき結婚

「おまえのばあちゃんから聞いてたんだ。赤羽電機を受けるって。それなら落とす理由はないと、レイに伝えただけ」


嘘…。そんな前から大悟さんは私のために?


「まぁもちろん親友の助言があったとしても、合格にするとは限らないよ。俺はそこまで優しい人間じゃないし、そもそも副社長面接の前に2回、うちの社員と面接して筆記試験も受けただろう。副社長面接まで辿り着いたことは間違いなく桜野さんの実力だよ。…辿り着かなかったら、縁故枠で採用するかあなたの意思確認をするつもりではあったけれど」


筆記試験、一次面接、二次面接。最後が副社長面接で、そこで内定がもらえた。


私は偶然にも大悟さんの親友の会社を受けたのだ。


「だそうだ。アンタは実力で合格したんだ」


「…全然知らなかったです」


「なんでアンタは前もって言わないんだ?突然、店に呼び出されて、俺のことを驚かせたかったのか?」


大悟さんが抗議すると、副社長は首を振った。


「今朝、綾人くんと桜野さんが一緒にいるところを見て、今夜3人で会うべきだと思ったんだ」


「綾人?」


大悟さんの声が低くなり、表情が強張った。


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