優しい彼と愛なき結婚

私は今日起きたことを始めから大悟さんに説明した。本当は帰ってから話そうと思っていたのだけれど。


「そうか…とりあえず、綾人の誘いをきっぱり断れたことは褒めてやる」


優しく頭を撫でられる。
嬉しいけれど恥ずかしくて副社長の方を見られなかった。


「まさか土地を買う気だとは。嫌がらせにも程がある」


フリースクールに目をつけた綾人さんは大悟さんにとってなにが大切なものか理解しているのだろう。卑劣な言動に虫唾が走る。


「倍で買うって言ってくれたのか、レイ。サンキュ」


「フリースクールは俺にとっても大切な場所だからね。まぁ口先だけでなく、本当に買うよ。ほら、」


「え……」


鞄から取り出した売買契約書を掲げ、副社長は笑った。


「綾人と地主が交渉しているところに、うちの秘書を送り込んで、契約をかっさらって来た。これで俺の所有物となったわけだ」


「レイ…」


本日二度目の驚き。
有言実行してくれたんだ。

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