優しい彼と愛なき結婚
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婚約届を提出する。
なんとなくジャージ姿では彼女に失礼な気がして、滅多に着ない白いワイシャツとジャケットを羽織ってきた。
サラリーマンであれば毎日着るであろう戦闘服は少し窮屈だ。
「結婚までするか…」
役所帰りに親友をランチに誘い、結婚の話を伝えた。
俺とは正反対で長身のスーツが似合う紳士だ。気品に溢れ、そこにいるだけで背筋が伸びる。こんなゆるい俺とどうして親友をやっているのか不思議だ。
「レイ、色々とあるかもしれないが協力頼む」
「協力って?俺はなにをすればいいの?」
「分かんない」
「だろうな」
この結婚が恋愛故のものでないことを親友のレイ以外には話すつもりはない。それだけこの男は俺にとって特別だ。