優しい彼と愛なき結婚
大学生の頃から通っている定食屋のハンバーグを頬張る。変わらない味に安心する。
「なに?おまえ、食わないの。俺がもらおうか?」
「……ひとつ聞かせろ」
「なに?」
「友人でない女性のために、なぜそこまでする?綾人がどうしようもない奴だってことは俺も知ってるが、助けるのであれば他の方法があったはずだろう」
「月島家に恩を感じているあの子は、あのままじゃ結婚しちまうから」
「それでも結婚の相手が大悟に変わっただけで、状況はひとつもよくない」
正論だ。
我ながら不器用でバカバカしい提案だったと思う。
「おまえは優しいから、放っておけなかったことは分かってる。だが同情は時に相手を深く傷つけるから、気を付けろよ」
「はいはい」
傷つけずに、彼女を護れるのだろうか。
「兄貴に襲われそうになっている優里を見た時、無性に守ってやりたくなった。…これって愛?」
照れ臭くて最後は舌を出して茶化してみせた。
本当は自分自身の行動に、己が一番驚いている。月島家には関わらないと決めていたのに、首を突っ込んでしまうとは…頭が痛くなる。