優しい彼と愛なき結婚

何件かトラブルが続いたがなんとか全て仕事を終わらせて帰宅すると、テーブルの上に置き手紙があった。


"シチュー作っておいたから。温めて"


見慣れた雑な筆跡だったけれど、そこから伝わる弟の思いに肩の力が抜けていく。

鍋を覗き込むと、今まで忘れていた空腹が一気に迫ってきた。そういえば昼からなにも食べてない。


両親はいないし、家計は苦しいけれど。
残された3人の生活は幸せだ。


これから4人になってどう変わるのだろう。

ふと大悟さんの顔が浮かび、携帯を取り出す。

もう夜遅いから連絡はしちゃダメだよね?
明日は10時に引越業社が来る段取りだし、朝早くに連絡すればいいよね。


シチューを温め、一息つく。




ーーただいま帰りました。明日は宜しくお願いします。


悩んで結局、メールを入れておいた。

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