優しい彼と愛なき結婚

「俺は俺の好きでアンタに協力してるんだ。人生を奪ったなんて表現するなよ…まぁ、分かった。一緒に眠ればアンタの気が済むのだろう?じゃぁ、そうすればいい」


「無理には…」


結局、大悟さんが折れようとしてくれる。こんなどうしようもないお願いなのにね。


「でも、一応言っとくけど」


大悟さんは私の目をじっと見てから、言った。



「俺も男だから。性欲はあるよ」


「……」


この手の話題はどうしても苦手で、思わず目を逸らしてしまった。



「万が一が無いとも言い切れない」



けれど私の願いを聞いてもらうのだから、私だってーー



「…もし大悟さんにその気があるのなら、この身体はいつでもあなたに捧げます」



結婚を決めた時点で、そう覚悟した。
綾人さんの時は心構えもせずに突然のことでパニックだったけれど、大丈夫。大悟さんとなら、きっとできる。


「……」


絶句する大悟さんの苛立ちのような怒りのような表情を見た時、私の返答は間違いだったと悟った。

それでも私はーー


「私にとって大悟さんは恩人です。私の身体であなたに少しでもその恩を返せるのなら、お願いします」


与えてもらってばかりだから。
返したいんだ。

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