優しい彼と愛なき結婚
ッ、ーー
ギュッと大悟さんに鼻を摘まれた。
テーブル越しに身を乗り出した大悟さんは鼻の次は、額にデコピンを寄越した。
「なぁ俺、そんなに盛ってるように見える?」
呑気な物言いで、いつもの空気が戻ってくる。
「経験豊富には見えます…」
「アンタに結婚の話を持ちかけてから女と関係はもってないし、俺はアンタにセフレになってもらったつもりもねぇ」
今度はゆっくりと顔の輪郭を撫でられ、
くすぐったくて身をよじる。
「自分のこともっと大事にしろよ。俺もイタズラしないように気を付けるから」
「はい…」
温かい手が心地よい。
この手で触れられたらどうなってしまうのだろう。
「恩とかそんなもの抜きにして、もしアンタが俺にそうして欲しいと思う時が来たのなら、喜んで抱くよ」
3歳しか変わらないのに。
彼は私よりもずっとずっと大人だった。