優しい彼と愛なき結婚
セッティングされたベッドを見てあの日の恥ずかしい会話を思い出してしまい、ひとり赤面する。
「私、キッチンの片付けしてますね」
「おー頼む。後で調味料とか買いに行こうな」
「一番近くのスーパーにご案内しますね」
新婚生活。
偽りなのにひどくドキドキと興奮してしまっている。
きっと大悟さんは私とは同じ気持ちではないだろうから、ひとりで舞い上がってしまっている。
相手が綾人さんだったら、こんな風に楽しむことなんてできなかった。緊張して彼の雰囲気に呑み込まれて、逃げ出したくなっただろう。
大悟さんと出逢えて良かった…。
にやけた口元を隠しつつ、キッチン用品を並べ始めた。