優しい彼と愛なき結婚
「なんでそんなこと言うの?私には大悟しかいないのに」
俺の腕を掴み、すがるように力を込めてきた。
「大悟のいない未来は、欲しくない」
「羽奈…」
真っ直ぐなその想いが、今は痛い。
俺は羽奈に男としては何もしてあげることができない。
優里もまたこれくらい自分の思いに正直に生きられたのなら、俺と結婚することもなく幸せを掴めたと思う。
「俺には謝ることしかできないよ」
「…大悟のバカっ、」
大声で叫び、椅子を倒して羽奈は外に出て行った。
まずい。
急いで立ち上がると園長と目が合い、手で制された。
「私が行こう」
「すみません」
数学の答えであれば教えられるが、答えのないものの答えを探そうとする行為は非常に困難で、頭がショートしそうだ。
どうしたら羽奈は分かってくれるだろう。