優しい彼と愛なき結婚
ベッドの温かさと、隣りから聞こえる規則正しい寝息に自然と眠気が強くなる。
身構えてしまったけれど大悟さんのことは信頼しているし、変に意識する必要はなかった。
綾人さんの交換条件をのむということは、この穏やかな生活も手放さなければならない。大悟さんにもサヨナラを言わなければならない。
借金故に成立した結婚だから当然だ。
月島家から離れられないと言う私のわがままに付き合ってもらったに過ぎないけれどーー別の理由で大悟さんを引き止められないか探してしまう。
ううん。綾人さんの交換条件をのんだ時点で、大悟さんは激怒するだろうし、私から離れていくだろう。
後1週間?
大悟さんと夫婦でいられる時間はそれしかないのだ。
それでもうちの借金のことを気にして歩夢も古本屋で教科書を見つけてくるなど、家計のために節約してくれている。
私さえ我慢すれば、全てが上手くいく。
せっかくの眠気が消え失せ、闇が広がるばかりだ。