聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~


まず、いずみはジナに、今日からしばらく泊まり込むことを告げ、着替えや調味料等を屋敷から取って来てくれるように頼んだ。
彼女と別れた後は食堂へ向かう。案内はルーファスだ。途中、いずみは訓練所の傍を通った。

「イズミ様の一括のおかげで、奴らにも気合が入ったようです」

ルーファスに促されて訓練所を除くと、全員がふたり組を組んで剣で打ち合いをしている。

「団長にいくら指導されても、甘えはなかなか抜けませんでした。何せこの王都はずいぶん長い間平和でしたから」

「アーレス様は騎士団の現状を憂いていました。だから厳しい訓練を課そうと。でもそれによって怪我をさせたりといろいろな悩んでおられたんです」

「確かに奴らにはスタミナと集中力が足りないかもしれませんね」

スタミナは、訓練だけでなく食生活でも改善できるはずだ。
スポーツ栄養学はいずみの専門ではないが、亜由美先生の料理コーナーでは取り上げていたこともあるので、うっすらとした知識くらいならあった。
質の良い筋肉を作るには、食事の時間も関係がある。運動後三十分以内にたんぱく質を補給する事が重要だった気がする。
集中力に関してはビタミンか鉄分が大事だったような……。

記憶はだいぶあいまいだったが、やらないよりはマシだろう。
食堂の料理を変えることで少しは効果が出るかもしれない。

「……差し出がましいようですが、食堂にレシピ提供することは可能でしょうか」

「は?」

「せっかくなので、皆さんの体力作りにも少し役に立てればと思いまして」

「はあ」

いまいち理解していない様子のルーファスは、「それに関しては料理人と相談してください」と答えるにとどめた。
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