聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
団員達にはいきわたり、ようやくアーレスの料理を作る余裕がでてきた。
いずみは厨房に入り、料理人夫婦とエイダに、こっそりと打ち明けた。
「実は……私、異世界から来たから、生活魔法が使えないんです」
「え?」
エイダは相当驚いたようだ。「本当に聖女様なの?」とまで言う。
恥ずかしいしみじめだ。ミヤ様とは違う、と言われなくたって分かっている。
だけど。
『俺にとってはたしかに聖女だ』
アーレスの言葉が、いずみを支えてくれる。この先誰に否定されようとも、彼にとっては自分は聖女なのだ。だとすれば、こんなところで折れてなどいられない。
「情けないけど本当です。それでも、私にもできることはあります。料理をするのを手伝ってください」
ぺこりと頭を下げたいずみに、料理人は困った様子だ。
「顔上げて下せえよ。団長の奥方なんだから、偉そうに命令すりゃいいんだ。そんな下手に出られたら調子狂っちまうよ」
ガシガシ頭を掻きながら、料理人が笑う。
「父さん、調子いい」
「そう言うなよ。今日はたしかに助かったじゃねぇか。俺たちが言ったって、騎士団の方々は動かねぇよ。それこそ聖女様のおかげってやつだ」
「まあね。でもあれはフレデリックのおかげでもあるじゃん……」
そう言いながら、エイダもしぶしぶと手伝ってくれる。
いずみは厨房に入り、料理人夫婦とエイダに、こっそりと打ち明けた。
「実は……私、異世界から来たから、生活魔法が使えないんです」
「え?」
エイダは相当驚いたようだ。「本当に聖女様なの?」とまで言う。
恥ずかしいしみじめだ。ミヤ様とは違う、と言われなくたって分かっている。
だけど。
『俺にとってはたしかに聖女だ』
アーレスの言葉が、いずみを支えてくれる。この先誰に否定されようとも、彼にとっては自分は聖女なのだ。だとすれば、こんなところで折れてなどいられない。
「情けないけど本当です。それでも、私にもできることはあります。料理をするのを手伝ってください」
ぺこりと頭を下げたいずみに、料理人は困った様子だ。
「顔上げて下せえよ。団長の奥方なんだから、偉そうに命令すりゃいいんだ。そんな下手に出られたら調子狂っちまうよ」
ガシガシ頭を掻きながら、料理人が笑う。
「父さん、調子いい」
「そう言うなよ。今日はたしかに助かったじゃねぇか。俺たちが言ったって、騎士団の方々は動かねぇよ。それこそ聖女様のおかげってやつだ」
「まあね。でもあれはフレデリックのおかげでもあるじゃん……」
そう言いながら、エイダもしぶしぶと手伝ってくれる。