聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
*
こっそりの騎士団宿舎から抜け出したいずみは、すぐにセシリーを見つけることができた。
掃除係である彼女は、城の裏口の水場でモップを洗っていたのだ。
「セシリー!」
「まあ、イズミ様」
彼女はいずみを見て柔らかく微笑んだ。が、いずみの方は思わず笑顔がこわばってしまった。セシリーの顔に、点状出血の症状が見られたからだ。
「セシリー、どうしたの?」
「ああ、これですか。すみません。見苦しくて。……少し体調を崩していまして」
言われて動きをみていれば、どうにも精彩さに欠けている。これでは、仕事をするにも以前よりずっと時間がかかるだろう。
「どうしたの? 大丈夫?」
「例の病かもしれません。うつるようなものではないそうですけど、危険ですからイズミ様は離れていたほうがいいですわ」
「大丈夫よ。うつらないんでしょう?」
いずみは簡単にセシリーの脈を取ったりして彼女の様子を観察した。全身の倦怠感と点状出血が主な症状のようだが、果たして一体何の病気かといわれると、医者でもないいずみには分からない。
「お医者様には診てもらったの? 栄養もちゃんと取ってる?」
「倒れるほど体調が悪いわけでもありませんし、私の家では簡単には医者にかかれません。大丈夫です、食事もちゃんと取っていますから。それより、イズミ様はどうされたんですか?」
「私は、……アーレス様の怪我を確認に騎士団に来て……」
一瞬頭から吹っ飛んでいた〝アーレスの恋しい人〟を思い出して、表情が陰る。だけど、体調の悪いセシリーの気を病ませるようなことも言いたくない。
こっそりの騎士団宿舎から抜け出したいずみは、すぐにセシリーを見つけることができた。
掃除係である彼女は、城の裏口の水場でモップを洗っていたのだ。
「セシリー!」
「まあ、イズミ様」
彼女はいずみを見て柔らかく微笑んだ。が、いずみの方は思わず笑顔がこわばってしまった。セシリーの顔に、点状出血の症状が見られたからだ。
「セシリー、どうしたの?」
「ああ、これですか。すみません。見苦しくて。……少し体調を崩していまして」
言われて動きをみていれば、どうにも精彩さに欠けている。これでは、仕事をするにも以前よりずっと時間がかかるだろう。
「どうしたの? 大丈夫?」
「例の病かもしれません。うつるようなものではないそうですけど、危険ですからイズミ様は離れていたほうがいいですわ」
「大丈夫よ。うつらないんでしょう?」
いずみは簡単にセシリーの脈を取ったりして彼女の様子を観察した。全身の倦怠感と点状出血が主な症状のようだが、果たして一体何の病気かといわれると、医者でもないいずみには分からない。
「お医者様には診てもらったの? 栄養もちゃんと取ってる?」
「倒れるほど体調が悪いわけでもありませんし、私の家では簡単には医者にかかれません。大丈夫です、食事もちゃんと取っていますから。それより、イズミ様はどうされたんですか?」
「私は、……アーレス様の怪我を確認に騎士団に来て……」
一瞬頭から吹っ飛んでいた〝アーレスの恋しい人〟を思い出して、表情が陰る。だけど、体調の悪いセシリーの気を病ませるようなことも言いたくない。