聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
「……家族以外の女性に、装飾品を送ったのは初めてだ。見た瞬間、イズミに似合うと思った。そんな風に誰かを想うことは、誓って初めてだ。たしかにミヤ様には憧れていた。かつて戦場で救っていただいた時から、彼女に忠誠を誓っていた。あの時ミヤ様が助けて下さらなければ死んでいた命だ。彼女に預けるのが正しい使い方だと思っていたからだ。そのために死んでもいいと思っていた。だが今は……」
アーレスは少し力を籠め、いずみを引き寄せる。
そして、その漆黒の髪に、唇をよせる。
「生きていたい。イズミを守るために命を捨てるのではなく、守り続けるために生きて一緒にいたい」
不器用ながらも自分の胸の内を吐き出したアーレスは、また熱が上がりそうな感覚に襲われた。
こんな気恥ずかしいことが自分にできるなんて思わなかった。誰かに対し、愛を語るなんてことを。
「……イズミといると、初めての気持ちにばかりなる」
顔を真っ赤にしたイズミは、なぜか両手で耳を押さえ始めた。
「や、無理。これ以上聞いたら倒れます」
「なぜだ」
渾身の告白を否定されれば、アーレスだってショックだ。
思わず体を離し、いずみの顔を覗き込む。
そうしたら、鈍感な彼でもさすがに分かった。顔を真っ赤にし目を潤ませた彼女が、嫌がってはいないことが。