聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
「おまえ、何をしていた」

「いや、俺、団長と聖女の関係がとても美しいと思いまして! 今度の人生設計の参考にさせていただこうと……」

あまりにくだらない理由に、アーレスも怒髪天を衝く。

「あほか! お前はまず相手をひとりに決めろ。そしてその彼女に愛想をつかされないように必死に鍛錬するんだ。まず体から作って出直してこい!」

「は、はいい!!」

すたこらさっさと居なくなるフレデリック。
いずみとジナは顔を見合わせて笑った。

「……なんだ」

「いえ、アーレス様、大きな声が出るほど回復されたなぁと思って」

「倒れたときには心配しましたとも、ねぇイズミ様」

「ええ。それに……」

いずみは、フレデリックが出て行った後を振り返る。
てっきり、団の中で恐れられているのかと思っていたアーレスに、ちょっかいを出してくるような部下がいたことに驚きを隠しきれない。

「アーレス様が、団員に慕われているようでホッとしました」

さっと頬に赤みが差した主を見て、ふたりの間に流れる空気が、今までで一番夫婦らしいものになっていると感じたジナは、微笑んでそっと部屋を出た。
とはいえ気を使われたと感じたふたりが、先ほど以上に進展することはなかったのだが。
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