聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~


それから、アーレスが回復するまでの一週間、いずみは食堂の手伝いをし続けた。
なぜか協力的になったフレデリックのおかげで、食堂内改革も進む。
彼はお調子者ではあるが、人からは嫌われない性格のようだ。彼が率先していずみに協力するおかげで、皆が彼女に従う空気が作られていく。
おかげで、料理人は厨房から出ることなく、利用者がお盆をもって取っていくスタイルが定着していった。
やがてお茶もセルフで入れるようになり、「なんかすっごく仕事が楽になりました」と語るのはエイダだ。
そしてその間、食堂のメニューはいずみが考えた。

「聖女の料理を食べてから、体が楽に動くようになった気がしないか?」

そう、誰かが語りだし、「あ、なんかそれ分かるかも。前よりバテなくなった」

「あの料理食べてるから、団長は怪物並みの体力なんじゃないか?」

これまでのアーレスの戦歴と、訓練の厳しさがその噂に尾ひれをつけていく。

「聖女の考案したレシピの料理を食べていれば、一日中走っていても倒れない体力がつくらしいぞ」

やがていずみの耳にそれが届いたころには、どうにも誇張されていた。

「そんな化け物を作る料理なんか作れないわよ」

憮然とした表情で、いずみが皿洗いをしていると、料理長がくつくつと笑う。

「見たことない料理だったし、実際スタミナは前よりついているんだろう。そこは考えていたんじゃなかったのかい?」

「たしかにスタミナが付くためのレシピを考えてはいますけど、食事だけでそれが叶うわけではありません。騎士団の方々が真面目に鍛錬している成果が出てきたんでしょう」

いずみの言葉に、料理長は顔をほころばせる。

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