聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~


翌朝、いずみはすっかり寝坊してしまっていた。
慌てて身支度を済ませ広間へと降り、「おはようございます」と話しかけると、集まっている使用人の中から、ジナが慌てた様子で近寄ってきた。

「まあイズミ様。申し訳ありません。お仕度の手伝いもしませんで」

「着替え位ひとりでできるわ。それより、アーレス様は?」

「旦那様は早朝から朝食もいらないと言って出かけられました」

「そう」

(昨日、私を迎えに来るために休んだせいかな。仕事が溜まっているのなら、申し訳なかった)

仕事重視の日本育ちのいずみとしては、旦那様の仕事の邪魔をする気はない。
忙しいなら忙しいで、言われれば勝手に屋敷まで来たのに、なんて思う。

それにしても、この広間に使用人たちが集まっているのはなぜだろう。
それに、ちょっと様子がおかしい。頭をぺこりと下げた子供から、ぐううううという腹の虫の音が聞こえてきたのだ。

「……どうしたの?」

「イズミ様。申し訳ありません。ちょっと朝食が遅れそうなのです」

リドルが子どもたちを背中に隠すようにして恭しく頭を下げる。

「実は、ジョナス……料理人が急に体調を崩してしまって。誰が代わりに作るか相談しているところですわ」

理由を教えてくれたのは料理補助もこなすメイドのスカーレットだ。
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