聖女の魔力が使えません!~かわりにおいしい手料理ふるまいます~
「この残り物使うわね。油はあるかしら。あれ、このコンロ、どうやって使うのかな。……ごめん! 火をつけてくれる?」
いずみが、炒めた芋を香辛料で味付けしたものをつぶし、玉ねぎをみじん切りしている間に、メイドのスカーレットが火をつけてくれた。玉ねぎを炒め、潰した芋と合わせる。
丸めて、小麦粉と卵、削って作ったパン粉で衣を作り、揚げればコロッケの出来上がりだ。
「わあ、いいにおいですねぇ。……ってすみません。奥様に馴れ馴れしく!」
料理は共同作業だ。
思わず仲間意識も沸き上がったところで、慌てたようにスカーレットが言う。
「いいのよ。それより手伝って、そこの野菜を千切りして欲しいの」
付け合わせのサラダを作るのだ。
後はスープでもあればいいのだが。牛乳はあるだろうか。
残り物の食材と氷室の中身をチェックしながら作った朝食は、それなりにおいしかった。
どうしてもある材料を考えると洋風になるため、いずみとしてはもうちょっと和食に寄せたかったが。
「奥様、料理上手なんですねぇ!」
ジナに味見させてみると、なかなかの好反応。
これでお腹空かせた彼らの子供たちも朝ごはんにありつける。
「うん。料理は好きなの。……もしジョナスが嫌がらなければ、こうやってたまに作らせてもらえると嬉しいんだけど」
「でしたら、少し残しておいて食べさせてみればいいんですよ。ジョナスさんは負けん気が強いですからね。知らない料理があれば、どうあっても作り方を知りたがるでしょう」
「そうね。……じゃあとりわけて、少し残しておいてくれる?」
「そうですね。もっと食べたいですが、我慢しましょう」
ジナが朗らかに言ってくれたので、いずみは思わず笑った。
ここの使用人たちは、王城の人たちよりずっと気さくな人が多い。
彼らのいい主人になりたいと、いずみは本気で考えたのだ。