夏に溶けて、死んじゃえばよかった。



「……すきだよ」



触れた肌。てのひら。包み込まれて、あたたかさに溺れかけて、拒んで。

また男らしくなったね、なんて言ったら、君はまた泣いちゃうのかな。



「ずっと、すき。俺がお前を描きたいって言ったの、覚えてるだろ」



美術部に入ってすぐのことだった。

『モデルになってほしい。お前を描きたい』

そう言ってもらったのは。

彼に、惹かれたのは。


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