エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
その日の仕事終わりの時間、日菜子はクライアント先から戻ってきた拓海を捕まえて、近くのカフェに呼び出した。
二十分ほど待っていると、急いだ様子の拓海がカフェの扉を開き入ってきた。日菜子がいるのを確認した後、入口近くのカウンターでコーヒーを注文した後受け取り、日菜子の元に来た。
「悪い、待たせたな」
「ううん、大丈夫? ごめん忙しいのに」
「いや、それよりも最近全然時間がとれなくて悪かった」
拓海が謝るのも無理はない。こうやってふたりっきりで会ったのは一週間も前のことだ。
「いいよ、別に。忙しいのはわかってるから」
「なんだよ、それ」
拓海はストローに口をつけたまま、不機嫌な表情を浮かべる。
なにかまずいことを言ったのかと、不思議に思い首を傾げた。
「そういうときは、嘘でも。『さみしかった』『会いたかった』って言うもんだろ?」
「そうなの?」
「そ・う・だ! 少なくとも俺は言って欲しい」
期待の籠もった視線に、日菜子はいたたまれない。
「そういうのは、わがままでしょう?」
「別にそういうかわいいわがままは、いいんだよ」
拓海のその言葉に、日菜子はここぞとばかりに食いついた。
「わがまま、言っていいの?」
「ああ。つき合うときにもそう言ったと思うけど」
拓海の言葉に日菜子は決心する。
「だったら、今週の土曜日。一日わたしに時間をくれない?」
途端に拓海の顔が渋る。
「一日か。半日じゃダメか?」
彼がそういうのも無理はない。例の幼稚園のデザインの締め切りまで後一瞬間だ。まだ拓海がそれを完成させていないのは日菜子も知っている。
「ダメ。ここに一緒に行って欲しいから」
日菜子はピンク色の用紙を一枚差し出し、拓海に見せた。