エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「ダメ......もう帰らなきゃ」

 時間を確認しようと顔を動かすと、拓海に両手で包み込まれた。

「帰れると思ってるわけ? こんなに気持ちが溢れてるのに帰せるわけないだろ」

 拓海の腕に力がこもる。

 そして次の瞬間には、先ほどとは比べものにならないほど、激しく唇を奪われた。

 その衝動は日菜子を一瞬にして熱くして、さっきまで残っていた「帰らなければ」という思いを、霧散させた。

 気がついたときには、ベッドにゆっくりと寝かされていた。

 拓海の熱の滾った瞳で見つめられると、それ以上の抵抗など日菜子にできるはずもなかった。



 週末を使ってデザインを仕上げた拓海は、火曜日に先方へとアポイントを取ったと言っていた。

 デザインを見た設計部の面々も、そのできばえに賞賛をたたえる。部長も満面の笑みを浮かべて「よくやったな」と拓海に声をかけていた。

 そんな様子を遠くから眺めていた日菜子だったが、そのとき鳴った内線電話に応対した部長の表情が一気に曇ったのが気になった。

 そして受話器を置くと大きく息を吐いた。その後に日菜子の元に険しい表情のままやってきた。

「松風さん、悪いが一緒に三階まで来てくれるかな?」

「え......はい」

 三階には総務や経理などの管理部門があるフロアだ。いったいそこでなにがあるのだろうか。

 部長の曇った表情を見て、不安を覚える。すぐに向かうとのことで、日菜子は不安を覚えたまま言われるがままに部長と三階に向かった。

 小会議室に通された日菜子は、そこで待っていた面々に驚いた。
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