エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「それなのに、どうして何度も君がアクセスした形跡が残ってるんだ?」

 情報システム部の課長が、アクセス分析をした紙をテーブルの上に置く。そこには拓海の名前に混じり、日菜子の名前もあった。

「そんな! わたしあの案件にか関わってないですから、なにかの間違いです」

 必死になって弁明するけれど、目の前にある証拠とされるものを覆すことなどできない。

「間違いと言われても、実際――」

「犯人は松風じゃありません」

 いきなり会議室の扉が開き、そこから拓海が飛び込んできた。よほど急いできたのか、息が上がっている。

「南沢、君は室長との話し合いの最中じゃないのか?」

 部長と日菜子がこの場へ来たあと、拓海も監査室長に呼ばれて事情の説明をされていたようだ。

 そこで日菜子の名前があがり、慌ててこの場に駆けつけた。

 そんな様子の拓海に、監査室長が鋭い視線を向けた。

「松風さんが、犯人じゃないという証拠は?」

「彼女は、再提出するデザインを一緒に考えてくれました。もし彼女が情報を漏洩していたとしたら、そんなことするでしょうか?」

 拓海の言葉に賛同するように、部長も力強くうなずいた。

「ただそれだけでは、彼女が関わっていないという証明にはならないだろ。こちらには物的証拠がある。これを覆さない限り彼女を無実として判断するのは難しい」

「逆にいえば、証拠はそれだけ。他社との接触に関する証拠はないんですよね?」

 そのとき会議室の内線電話が鳴る。

 監査室長が電話に出ると、低い声で返事をしたあと、すぐに受話器を置いた。
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