エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「松風さんのデスクの中から、ライバル会社の担当者の名刺が見つかった。どういう
ことだ?」

 冷ややかな口調が日菜子を責める。

 どうしていいのかわからない日菜子に代って、必死になって彼女をかばう。

「そんなのおかしい。だいたいそんなわかりやすいところに証拠なんて残すはずない」

「南沢っ!」

 声をあげた拓海を、部長が制止する。

「でもっ!」

 まだなにか言いたそうな拓海の腕を、日菜子が掴んだ。そこで彼は冷静になり、悔しさをにじませながらぐっと口をつぐんだ。

「もう......いいから」

 蚊の鳴くような声でそう告げて、首を振る。

「いいわけないだろ! やってないなら最後まで闘わないと」

 日菜子は目頭が熱くなるのを感じた。強く唇を噛み泣かないように我慢する。不利な状況でも拓海は一ミリたりとも日菜子を疑っていない。

 そのことだけでも、十分だと思えた。

 しかし拓海は決してあきらめようとしない。

「......犯人がわかればいいんですね?」

「南沢、そうは言ってもだな......」

「いえ、俺が見つけてみせますから」

 拓海の言葉に驚いた日菜子は、彼を見つめる。

「そうは言ってもだな、我々が調べて結果が松風さんだったんだ。これ以上どうするつもりなんだ?」

「思い当たることが、いくつかあるんです。だから少し時間をいただけないでしょうか?」

「わかった。猶予は二週間だ。しかしその間、松風さんには謹慎してもらう」

「......そんな」

 日菜子は震える声を漏らした。


「今は君が疑われているんだ。だから二週間謹慎しなさい。その間に南沢が真犯人をつきとめられなかったら、改めて彼女への処罰を検討する。いいな?」

 監査室長も拓海の勢いに押されて、条件を出した。

 しかしそれは安心できるものではない。期間はたったの二週間だ。

「わかりました」

 拓海の決意の籠もった声が、部屋に響いた。

「では、松風さんは今から自宅謹慎をしてください。いいですね?」

「......はい」

 小さな声でそう返事するだけが精一杯だった。

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