エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
謹慎を言い渡された日菜子は、花に仕事を引き継ぎみんなの視線にさらされながら帰宅の途に就く。
(早く家に帰ろう......)
そうすれば人目を気にせず泣くことができる。
日菜子は足早に会社のエントランスホールを抜けて外に出て、まっすぐに駅に向かう。
時刻はまだ昼にもなっていない。こんな時間に帰宅することになるとは思ってもいなかった。顔を俯けて肩を落としたまま歩く。
自宅まで我慢しようと思っていた涙がじわりと滲みそうになる。泣いたってどうにかなるわけじゃないのに、わかっていてもあふれ出しそうになる。
慌てて上を向いた日菜子の肩を誰かが掴んだ。勢いのままに振り向くとそこには息を切らした拓海がいた。
「歩くの早すぎ」
いつもと変わらない調子の拓海を見て、我慢していた涙が頬を伝う。その瞬間平静を装っていた拓海の眉間に皺が寄った。
ぐっと抱き寄せられた。拓海は日菜子の泣き顔を世界から隠すかのごとく、その腕に力を込める。
「守ってやるっていったのに、つらい思いさせてごめん」
彼の腕の中で必死になって首を振る。拓海は精一杯日菜子のことをかばってくれた。
「少しだけ、我慢してくれ。絶対俺が犯人を見つけ出すから」
彼の力強い声に、日菜子はうなずくことしかできなかった。