エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「それはじっくり今から時間をかけて、おしえてやるよ。日菜子」
「えっ……きゃあ」
拓海はいきなり日菜子の膝裏に腕を入れると、軽々と抱き上げた。今、初めて名前を呼ばれたことで、ぼーっとしていた隙のことだ。
「み、南沢くん?」
「拓海……って呼んでほしい」
(名前……そうか……)
さっき拓海にはじめて『日菜子』と呼ばれたときに、驚きとともにうれしかった。
好きな人に名前を呼ばれるのがこんなに心地いいことだとは思わなかった。
だからこそ、拓海のことも名前で呼びたい。
「……拓海」
緊張でちょっと声がかすれた。けれど合格点には達していたようで拓海は頬を緩ませる。
そんな彼を見ていると、日菜子も自然と笑顔になる。お互い見つめ合い笑い合っていることで、気がついたときには日菜子は隣りの部屋にある大きなベッドの上にゆっくりと降ろされていた。
「到着っと」
ギシッと立てたベッドの音に、ドクンと鼓動がはねた。今更引き返せないのはわかっているけれど、やっぱり未知の世界に足を踏み入れるのには勇気がいる。
一気に体がこわばったのは拓海にも伝わったようだ。
「怖い?」
「ん……ちょっと。はじめてだから」
すでに彼も承知のことだろうが、あらためて伝えておく。
「そうだな。でも俺も、緊張してる。好きな女のはじめてをもらうんだ。責任重大だろ」
いつも自信に満ちあふれている拓海の言葉とは思えなかった。
彼はジャケットを脱ぐと日菜子の手を取る。そしてその手を自分の胸、ちょうど心臓の部分に持っていく。
「心から、日菜子のことがほしいと思ってる。だから全部俺にあずけてほしい」
真摯な眼差しに射抜かれた日菜子は、小さくうなずいた。
少し表情を緩ませた拓海が、ゆっくりと近づいてくる。
これから起こる甘い予感に、日菜子はそっと目を閉じた。