エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
 正直言えば、体のあちこちに違和感がある。けれど彼の体温を感じながら迎える朝の幸せが体を満たしていた。

 恥ずかしいけれどうれしくてどうしようもない感情が芽生える。彼の胸から顔を上げて、拓海を見つめる。

 お互い微笑み会ったあと、どちらからともなく唇を合わせた。

 それからしばらく、ふたりの甘い朝は続いた。


「じゃあこれ、悪いけど今日中に頼む。行ってくる」

「いってらっしゃい」

 仕事中、拓海がクライアントの元に向かう前に交わした会話。いつもの何気ない会話だったけれど、日菜子の隣でその様子を見ていた花は、ニヤニヤと笑いを浮かべていた。

「いいですね~ラブラブで」

「ちょっと?」

 小さな声だったがあわてて周りを確認する。

「だって、羨ましいんですもん。ちょっとぐらいからかってもいいじゃないですかっ」

「からかうって……それにさっきの会話のどこがラブラブなの? 他の人にだって同じように声をかけるのに」

 本当に社内でよくある会話だ。拓海の前に出ていった社員にも同じようにみな「いってらっしゃい」と声をかけるし、花だってさきほど拓海に声をかけていた。

「それはそうなんですけど……お互いまとっている雰囲気が違うというか……なんというか。とにかく幸せそうですね」

「もう、わたしをからかってばかりいないで、仕事しよう」

「は~い。わかりました。そういえば今日って、例の保育園の建て替えの打ち合わせでしたよね?」

 拓海の行き先を確認した花が日菜子に確認した。

「うん。なかなかいい案ができてたから自信あるみたい」

 あの図面を描きあげたときの、拓海の満足そうな顔を思いだした。

「そうなんですね。まあ、南沢さんならきっと今回も契約とってきますよ」

「そうだといいね」

 日菜子も内心そう思っていたけれど、そんなことをいうとまた花にからかわれそうなのでやめておいた。

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