エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
 先程のことについて日菜子にも何らかの話があるらしい。そう思い緊張しつつも急ぎ足でミーティングブースに向かった。

 部屋に入るとすぐに椅子に座るように促され、それに従う。

 正面に座る部長の表情はいつもと違い固く、これから話す内容がやはり良くないものだということがわかる。

「松風さん、わかすぎ学園の幼稚舎の園舎建て替え工事についてだが君が図面の作成を手伝ったかい?」

「いいえ、あれはすべて南沢くんが作成したはずです。わたしは完成したものを見ただけです」

「南沢がここのところ様子がおかしいと思うようなことはなかったか?」

「いえ、とくには」

 手書きで描くデッサン画をいくつか見せてもらった。クリスチャン系の学校だったが、他の学部も参考にしてシンプルでスタイリッシュな作りになっていた。

 今どきの幼稚園という感じが新しく、若い父母には良いようにも感じた。

「そうか……ならどうしてこんなことになったんだ」

 部長がこめかみのあたりを押さえて、悩ましげに言葉を吐いた。

「なにが……あったんですか?」

 これ以上状況がわからないままにしておけず、日菜子は思い切って尋ねた。

「先方から連絡があったんだ。他社が似たデザインを提出してきている……と」

「え? まさかそんなこと。あれは間違いなく南沢くんのデザインです」

 一番近くで見てきた日菜子は断言する。けれどその証言はなんの証拠にもならない。

「僕もそう思うよ。南沢はプライドの高い男だ。そんな男が卑怯な真似をするはずがない。問題は先方はそうは思わないってことだ。他社とうち、どちらかがルール違反をしている。それはやっぱり盗ったほうも盗られたほうも信用問題に関わるからな」

「どうして、うちは被害者じゃないですか?」

「ああ、情報が漏洩したということは、うちの責任問題にもなる」

「……っ」
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